自転車自作研究会 2003/7/1更新

独眼流自転車作法
人によりツーリングスタイル(どこを走るか、いつ走るか、どういう走り方とするか・・・)は異なります。自転車に要求される条件も異なります。ですからその結果として創る自転車も人さまざまです。以下に私の自転車製作プロセスをご紹介します。自転車製作の一つのアプローチとして見て頂ければ幸いです。あなたの創る自転車があなたのサイクルライフに新しい1ページを開くことを願っています。
基本コンセプト
●ゼロベースでの構築
先入観、既成概念、常識を全部捨てて、ツーリング用の自転車を作ってみましょう。必要な機能を必要なだけ満たす自転車を作ります。世界で一台しかないあなただけの自転車です。人の目など気になりません,心ゆくまで自己満足に浸りましょう。
●ユーザーに合った自転車
こういう自転車がほしいと自転車から発想するのは邪道です。どんなに美しい自転車でも、どんなに高価な自転車でも、自転車だけでは機能しません。あなたが乗ることで初めて自転車は機能し,走るのです。あなた(の体格,技術,目的)に合わない自転車など創って何になりましょう。床の間に飾りますか?。
●現代テクノロジーの採用
インデックス式変速機、SPD等のビンディングペダル、デュアルコントロールレバー、バリエーション豊富なタイヤ等のロード、MTB用の部品をツーリング目的に調和させて使っていきます。フレーム素材もスチール(クロームモリブデン鋼)に拘りません。アルミ、カーボンファイバーも検討の対象になることでしょう。リーズナブルな価格のためにはスチールが有利でしょうが。
●実用本位、メンテナンスフリーを志向
他のコンセプトと重複する部分もありますが・・・実用本位です。軽量化に走ってダートの下りを思いきり走れないのは悲しい、私は。メンテナンスも楽な方がいいにきまっています。チェーンに油を差さない人に付ける薬はありませんが(^-^)。
●価格も安く
必要かつ充分な機能があれば、お値段も安い方がいいに決まっています。ツーリングではレースのようなハードな使い方をするわけではありませんから、入門グレードのパーツでも充分だと思います。もちろん、財布に余裕のある方が見栄に負けてグレードの高い部品を使うのを止めるつもりはありません。
あなたのフィールドとスタイルは?
自分でツーリング用自転車を作ろうという人は、自分がどんな「フィールド」をどんな「スタイル」でツーリングするのかを思い浮かべることができることでしょう。○○に行く時だけの単目的ツーリング車?。○○から○○まで幅広いフィールドとスタイルに対応する自転車作り?。あなたの「フィールド」と「スタイル」に合わせた自転車を作りましょう。ときには、新しい「フィールド」と新しい「スタイル」のために作る自転車もあることでしょう。
フィールドとスタイルに合ったホイールは?

タイヤが自転車の性格を決めます。あなたのフィールド(舗装路、裏道、林道、山道・・・)とあなたのスタイル(走り方、テクニック、荷物量・・・)からあなたのホイール(タイヤサイズ)を決めましょう。今、ツーリング車を作るならば細めの700C,太めの26HEの2規格以外には選択肢はないといえるような状況です。650A(26×13/8),650B(1×11/2)のリム,タイヤの供給はすっかり少なくなってしまいました。トライアスロン用の650C(26×1)もタイヤバリエーションは多くありません。

・背の大きな人向き、細いタイヤが豊富な700C
・背の小さな人向き(大きな人も使えますが)、太いタイヤが豊富な26HE

舗装路しか走らないと断言できるあなたはチューブラータイヤの軽やかなしなやかな走りを楽しむこともできます。ツーリング中のパンク対策の観点からは細めのWOの方がいいかもしれませんが。ダートの林道がメインだという方は太めのタイヤの方がいいことでしょう。シクロクロスばりに細いタイヤでダートに挑む方もいらっしゃるかもしれません。

ギヤ比はどこまで必要だろうか。

ギヤ比もフィールドとあなたのスタイル(走り方、脚力・・・)から決めましょう。アレマこんな道をあんな高いギヤ比で登っていくの?という人もいることでしょう。やっぱり登りは脚をクルクル回していかないとねという方もいることでしょう。

ギヤ比は高い方がF53T×R11T、低い方がF22T×R34Tまで選べます。ツーリングで53×11を踏める人いるの?。22×34なら歩いた方が速いんじゃない?とも思いますが。フロントに44を使えばリアは11〜34の9速で充分と思う人もいることでしょう。フロントがシングルなら軽量(前変速機もシフトも不要)かつシンプル(故障するものがない)な自転車が作れます。せっかくフロントが3枚使えるならば、もっときめ細かなギヤを使いたい人もいることでしょう。そういう方には46/34/24×12〜21の27速なんてどうでしょう。アップダウンのきつくない舗装コース(国道等)ならば固定ギヤでもいいかもしれません。

スプロケットは9速,10速がすっかり当たり前になってしまいました。フロントトリプルを組み合わせれば27速,30速になってしまいます。ギヤ比の間隔は非常に細かくなりました。脚に合うギヤ比がないということも無くなりました。上りでダンシングしながらでも変速できるのは・・・驚きでした。もう慣れて当たり前になってしまいましたが。

当然の選択、デュアルコントロールレバー

具体的な部品の選択にあたってはロード用のデュアルコントロールレバー(シマノのSTIとカンパニョロのエルゴパワー)、MTB用手元シフトを外すわけにはいきませんね。現行ロード用部品も、MTB用部品もツーリングに使う機能と十分な性能を有しています。困ることは何もないことでしょう。

デュアルコントロールレバーを採用すると、一部の人は決断を迫られることがあります。輪行方法が変わることです。従来のヘッド抜き輪行方法はもう使えません。ハンドルバーを自転車本体から離すことができないデュアルコントロールレバーでは前後輪を外すだけの輪行に移行せざるを得ません。大きな輪行袋を用意して入れてしまいましょう。

泥よけは必要だろうか?
マッドガードがなく跳ね上げる雨水で肌までずズブ濡れになったことはありませんか?。泥んこ林道でマッドガードに泥が詰まって走れなくなったことはありませんか?。輪行を考えれば、マッドガードは分解組立の手間と時間を増やします。マッドガードを付けるかどうかはメリットとデメリットを考えて判断することなのでしょう。シンプルなものほど故障が少ないのも事実。雨の降っていない時間は何の役にも立たない無駄な重量を運んでいるのも事実。降雨時の快適性とこれらのデメリットが引換にできるかどうかが判断の分かれ目でしょう。マッドガードは付けられるようにしておいてフィールドに応じて、コースに応じて選択するのもいいかもしれません。でも、実際には取付・取外が面倒で機能しない!が私の経験。
ライティングシステムは?

日帰り短距離にしか使わない、日の暮れるおそればない場合はランプを付けないという選択肢もありうることでしょう。ランプがあっても昼間のように夜もルートファインディングができるわけではありません。地図を確認するのも大変だし、なにより周りが見えません。でもライトがなくては走ることさえできなくなります。

ライティングシステムは大きく分けるとダイナモシステムとバッテリーシステムに区分されます。ダイナモシステムとバッテリーシステムにはそれぞれの長短所があります。取付・取外しできることはバッテリーランプのメリットだけれれど、取付・取外けは面倒で付けっぱなし、外しっぱなしになってしまうもの。ハブダイナモを使ったライティングシステムには従来のダイナモに比べて走行抵抗が小さいそうです(まだ自分で使っていません)。

キャリアの必要性?

キャリアやバッグを付けるために自転車を作るわけではありません。自分が必要な荷物を運ぶためにバッグが必要ならば使います。バッグを自転車に付けるためにキャリアが必要ならば付けます。あなたが荷物を背負っていくならキャリアは不要です。重い荷物を背負っていくと前傾姿勢で自転車に乗ると腰を痛めてしまう人もいることでしょう。バーやサドルに取り付けるバッグがあります。活用して背中の負荷を軽減しましょう。

あなたがツーリングに必要なものは何でしょうか?量はどのくらいになるのでしょうか?ツーリングスタイルにより荷物の量は変わります。荷物の量はツーリングのスタイルにより変わります。同じコースを同じ宿泊して走っても人によって荷物の量は倍半分は違うのではないでしょうか。ツーリングのスタイルを変えれば荷物の量も変わります。

軽量化(=見栄?)とコスト

自転車は軽い方が楽です。坂を上るにも、輪行して自転車を分解して運ぶにも、軽い方がいいに決まっています。自転車を軽くするには軽い部品、フレームを使うしかありません。一方お値段の方も高級(高額)商品ですからエエッこんなに違う!のという金額になります。部品ランクによって性能は違うことでしょう。倍の値段の部品に倍の性能はありません。耐久性も異なることでしょう、でも倍の値段の部品が倍の寿命を持つとは思えません。軽い部品は高級(高額?)部品でもありますので見栄?も満足します。これは間違いありません。軽量(+見栄)とコストのバランスを考えることになるのでしょうか。

自転車を1kgダイエットするのとライダーが1kgダイエットするのとどちらが財布と健康にいいかは言うまでもありません。同じ1kgでも、重心に近いウェストの周りについている1kgはあまり気にならないのですが、輪行時に駅や車内で自転車が1kg軽いのは何ともありがたいですね。重量とコストに、見栄と自らのダイエットを加えて考えてもらえばいいのでしょう。

本当は両目を開けて自転車創りが・・。
以上は独眼流の片目から見た偏った自転車作法でした。機能、コストから見た自転車作りでした。もう一方の目で見ると、趣味性、工芸的な美しさ、使う部品の時代考証、広い意味での美意識などという全く違った視点からの自転車が見えてきます。タブン、ちゃんと両方の目を開けて作るのがいいのでしょうが・・・右目がよく見える人、左目が利き目の人もいますし。美意識から見た自転車作りを語るのは私ではなさそうです。
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