自転車社会学会

国土交通省基本政策部会に期待できること・できないこと

国土交通省の諮問機関である道路分科会基本政策部会における議論の方向についての試案を読んで・・・・

■ 基本政策部会に期待できること

●前向きであること
・「今こそ、道路行政が再び効率的な公共事業への大転換を先導する役割を果たすことを期待したい。本部会では、現在の道路行政を取りまく情勢を、今後にわたる「道路行政転換の契機」ととらえ、従来の政策の善きものは残し、改めるべきものは改め、今後へ向けて建設的に道路行政のあり方を審議すべきと考える。」
・「過去の経緯にとらわれることなく、道路政策の最終目的たる国民福祉の向上に立ち返って、今後の道路行政の進むべき方向を検討すべきと考える。」
としており,従来の枠組みにとらわれることなく審議を進めようとする意欲が感じられる。事務局が用意した資料ではなく,「 会議資料は、委員ペーパーを基本とする。」としている点も高く評価したい。

●議論を透明に進めようとしていること
・「本基本政策部会の議論を、徹底した情報公開のもとに、次のような方向に展開していくことが必要であると考える。」
・「部会のメンバーにとどまらず、各地域、各界・各層の方々から多くの意見をいただきながら、国民的に議論を進めていくよう、そのための仕組みを整えることが必要と考える。」
としており,国民各層の参加を求めて透明かつオープンな審議の進め方が示されている。今後に期待したい。国民的に議論を進めていく仕組みをどのように整えていくのか大変楽しみである。

●議論の方向が妥当であること
基本政策部会の議論の方向として上げられている6つは2つに集約される。予算の効果的配分と交通システムの見直しの2つである。
・「1.「量的拡大」重視から、既存のストックの改善と活用を最大限に考慮した「峻別した新規投資と既存施設の有効活用」へ」は予算の効果的配分の意味である,タブン。その具体的な方法論が「5.「事業量確保のための事前評価システム」から「成果を重視する評価システム」へ」である。
・「2.市街地において「車中心」の施策から、自動車利用抑制、生活道路の復権、沿道環境・地球環境の改善も考慮した「歩行者・自転車など生活者重視」の施策へ」と「3.「道路単独主義」から、鉄道等他の公共交通機関との適切な役割分担を考慮した「インターモーダルな総合的交通システム」の構築へ」はともに交通システムの見直しを言っている。前者は道路だけの交通システムについて,後者は道路以外の鉄道等交通機関を含めた交通システムを言っている。道路の量的拡大に限界・制限があり,質的な変化が図れなければ交通需要(必ずしも量的なものばかりではなく,質的にも)を満たすために新しいアプローチが要求されている。

■ 基本政策部会に期待できないこと

●有料道路制度、特殊法人民営化には踏み込めないし,さらには道路特定財源制度の改革、道路政策と他の政策の整合性は望むべくもない。
当然のことながら本基本部会は国土交通省の内部組織(諮問機関)であるので,国土交通省に責任と権限のないこと(特定財源制度,地方分権)には答申の効力が及ばない。国土交通省(道路局?)が行うつもりのないこと(有料道路清楚,特殊法人民営化)に答申が及ぶことも期待できない。

●委員(の中に)は具体的なビジョンを提言したい(委員もいる)らしい。
委員のなかにはインフラの整備を行うべきであるという意見を部会で述べる委員がいる。国民に日本のあるべきビジョンを提示したいらしい。本部会を具体的な政策提言の場と考えているようだ。本部会は(行政が提供する)意思決定システムの変更・改革を検討する場であると考える。そのシステムに従って政治・国民・住民がどのような選択・決定も(もちろん可能な範囲内で)できる。それが本部会の役割ではないだろうか。インフラ整備の各論は馴染まない(場にそぐわない)のはないか。従来の道路行政の延長線上のインフラ整備論に国民の関心があるとも思えないのだが・・・・・・人にはいろんな意見があるのが当たり前。

基本政策部会のページへ(誰でも意見を述べることができます)


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