自転車社会学会2006/10/5更新

東京都自転車総合対策へのコメント

住所:宮城県女川町○○○○
氏名:門岡 淳(自転車社会学会http://www.kadooka.miyaginocyclingclub.org/bikesocio/)
年齢:50歳

東京都の自転車総合対策(中間のまとめ)拝読いたしました。放置自転車だけではなく自転車問題を幅広く把握し,東京都として現実的かつ総合的な自転車対策となっていると思います。今後,最終報告をへて,これらの対策が実施され成果を上げることを期待しています。
拝読して気になった3点についてコメントします,今後の議論の参考になれば幸いです。

1.道路空間の有効活用は自転車レーンを主体に
自転車走行ネットワークの構築として,自転車道・自転車レーン・自転車歩行者道が挙げられていますが,以下の理由から自転車レーンを主体に整備するのが最も実現可能性が高く,必要なコスト・マンパワーに対して効果的(効率的)ではないでしょうか。

(1)道路空間の有効活用
a.自転車道
自転車道と(自転車道以外の)車道の間にはさく等が設置され,自転車道,車道との自由な行き来はできません。限られた道路空間を細分化することは道路空間利用の自由度を損ないます。
b.自転車レーン
自転車レーンとして自転車レーンと車線部分が自由に行き来できれば自転車レーン部分は故障・事故車両を退避させる場所,緊急車両通行時の自動車の待避場所,災害時の駐車場所としての活用も考えられます。また,自転車レーンをバスレーンと共通とすることで自動車からバスへの交通需要シフトにも有効であると考えられます。自転車レーンが駐車場と化してしまうという心配もあることと思います。大丈夫です,駐車違反取締りの民間委託を利用して自転車ツーキニストが写メールで駐車違反取締りに協力します。
c.自転車歩行者道
自転車歩行者道としてすでに整備されてしまったものは当面は車道側を自転車通行エリアとして区分するしか方法はないものと思います。本来は道路法上の道路構造基準を改正して自転車歩行者道の整備は中止し,そのスペースを自転車レーン+バスレーンとして利用する方が道路空間の有効活用になるものと考えます。

(2)対向通行の危険性
a.自転車道
自転車道は,道路交通法上は一つの道路として扱われ(第十六条),自転車同士が対向通行することになります。現在の道路状況を考えると自転車道に充分な幅員を確保することは困難と考えられます。対向する自転車との相対速度は40km/h以上にもなり,自転車道内での自転車同士の事故が懸念されます。
b.自転車歩行者道
対向通行であるのは自転車歩行者道においても同様です。自転車歩行者道は,道路交通法上の歩道であり,左側通行の規制はなく対向通行となっています。自転車歩行者道では自転車は徐行であり,実状としても自転車の通行速度は小さいので自転車道よりも事故の可能性は低いことでしょう。

(3)自転車道の通行方法
(道路の片側のみに整備された)自転車道では自転車が対向して通行することになり,自動車と反対方向に進む自転車の右左折の方法,従うべき信号,車道への進行等はどのようになるのでしょう(現在の道路交通法の中には規定がありません)。新たな通行ルールを定め,定着させていく必要がありますが,混乱が懸念されます。ただし,車道の両側に自転車道を整備して,一方通行規制すれば自転車レーンと同様でありこのような問題は発生しません。

参考:道路交通法
(定義)第二条
三の三  自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。
(通則)第十六条
4 この章の規定の適用については、自転車道が設けられている道路における自転車道と自転車道以外の車道の部分とは、それぞれ一の車道とする。


2.自転車安全マーク,防犯登録,賠償責任保険は電子タグで統合

自転車の製造,輸入者が流通管理のために付ける電子タグを有効に活用します。安全マーク機能(JIS,SG,BAA)と電子タグを統合します。防犯登録でも電子タグ情報を利用し,所有者情報と自転車IDを対応させます。TSマークは自転車賠償保険を前面に打ち出し,同じく電子タグで賠償保険の加入状況(所有者情報,加入履歴)を把握します。具体的な運用は以下のとおり。

(1)自転車製造・輸入者は,自転車が安全マーク基準に合致していることを確認して電子タグを埋め込んだ安全マークを自転車に貼って出荷する。(製造,輸入者は電子タグで識別される自転車が安全マーク基準に適合していることデータベースを持つ。BAA制度ではBAAのID番号の電子タグを付ける。)

(2)自転車製造・輸入者,流通業者,小売店は必要に応じて電子タグを用いて流通管理を行う。

(3)自転車利用者は,安全マークを参考にして自転車を購入する。自転車販売者は,リーダーで電子タグを読み取って,利用者情報(氏名,住所,メールアドレス等)とともに店の端末経由で全国防犯登録データベースに入力する。(従来の防犯登録に相当)

(4)自転車販売者は,TSマーク(賠償保険)に加入する人については,防犯登録データベースに賠償保険データ(保険金額,有効期限等)を入力する。(従来のTSマークに相当)

(5)自転車を盗まれた利用者は,販売店・警察等を通じて全国防犯登録データベースから利用者情報を無効にし(削除はしない),盗難情報(盗難場所,盗難時刻等)を入力する。

(6)TSマーク(賠償保険)を更新する人は,販売店等で点検整備を受け,賠償保険料を支払う。販売店は全国防犯登録データベースに賠償保険データ(保険金額,有効期限等)を入力する。

(7)放置された自転車を調べる者(区市町村職員,区市町村に委託された者)は,リーダーで電子タグを読み取って携帯端末から全国防犯登録データベースにアクセスして,以下のとおり自転車を廃棄するかそのまま放置する。これにより放置自転車の撤去・保管・返還作業はなくなる。
・電子タグがない自転車は廃棄する。
・電子タグはあるが利用者情報が登録されていない自転車は廃棄する。
・利用者情報が登録されている自転車については全国防犯登録データベースが,利用者に放置メール(放置時刻,放置場所)を送り,放置履歴をデータベースに追記する。
・盗難車情報が登録されている自転車については全国防犯登録データベースが,利用者に発見メール(発見時刻,発見場所)を送り,発見履歴をデータベースに追記する。
・過去に放置メール,発見メールを(○回以上?)送ったが引き取られていない自転車は廃棄する。

(8)盗難メールを受け取った利用者は,自転車を回収し,販売店等で利用者情報を復活させる。


3.自転車総合対策の実現のために

(1)都民の理解
東京都自転車総合対策が実現されるためには都民に総合対策が理解されることが必要です。そのためにも自転車総合対策がどのようにして生まれてきたのかを説明することも大切ではないでしょうか。最終報告には自転車総合対策検討委員会の委員名および委員会開催日時,概要も記載することが理解の促進に役立つと思います。

(2)責任と権限
計画が具体化(予算化,業務化)され,実施されるためには責任と権限が明確であることが必要です。自転車総合対策の各対策は都の部局,区市町村,関係機関のどこが責任と権限を持つのかを明確にする必要があります。最終報告の段階では,どの対策はどの部門が責任を持って推進するのか明記できれば対策の具体的推進が図れることでしょう。

(3)評価と反映
自転車総合対策の目的は各対策を通じて都民の安全の確保,利便性の向上,経済活動の向上を図ることです。各対策が目的をどの程度実現しているのか?各対策に必要な予算,マンパワーはどの程度なのか?について各担当部門が自己評価する仕組みが必要です。自己評価がお手盛りとの批判を受けることのないように,その評価結果を審査する仕組みも必要です。これらは都行政の説明性確保のためにも必要ではないでしょうか。最終報告にはそのための仕組みについても記載されることを切望しています。


4その他

(1) 第2章4.2 自転車安全基準【各マーク制度の概要】4.TSマーク制度(自転車安全整備制度)
(Trafic Safety)→(Traffic Safety)
誤記です。

(2)第4章 1.2 自転車の交通ルールを遵守させる制度の創設(3)実施に向けて検討が必要な対策
ここで、自転車に対して交通反則通告制度や点数制度を導入する場合には、自転車免許制などのような違反時の本人確認等可能なものの携帯とともに、ナンバープレート制などのような違反自転車の特定が可能となる仕組みの導入についても検討が必要である。
→ここでのペナルティは自転車利用者に対するペナルティです。点数制,運転免許との連動のためには本人確認は必要ですが,違反自転車を特定する必要はありません。違反自転車を特定する必要がある場合はその理由を明記願います。

(3) 第4章2.2 自転車駐車場が足りている駅周辺における取り組み(3)実施に向けて検討が必要な対策自転車のデポジット(預かり保証金)制度の創設
→デポジット制度は消費者にとっては自転車価格の引き上げ(自転車税?)と受け取られる可能性があります。都がデポジット制度を導入すると,消費者はインターネット等の通信販売を含む都外から自転車を購入します。都内自転車店の自転車販売への影響は大きいことでしょう。デポジット制度が都民に受け入れられるか?都内自転車店は存続できるか?等について更なる検討を希望します。


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